NHKの朝の連続テレビ小説「あんぱん」。アンパンマン作者のやなせたかしとその妻のぶの物語です。

放送終了まで残り1ヶ月半ですが、なぜ今年、このドラマなのか。ここに来てその理由がはっきりとわかるストーリー展開になっています。

のぶは「はちきん」と土佐弁で言われるような男勝りの女性で、女学生時代には「愛国の鑑」と称される軍国少女に。尋常小学校の教師になった彼女は軍国教育を信じ子供達を教育します。しかし、終戦とともに、それまで正しいとされていたことが180度変わってしまい、彼女は罪悪感から教師を辞めます。

その後彼女が探し求めるのは「逆転しない正義」。

政治家の秘書となった彼女は、そこが「逆転しない正義」を探すのにふさわしい場所だと思っています。しかし、上司である女性代議士、薪鉄子からは「甘い」と叱責され、クビになります。薪鉄子はそもそも「ガード下の女王」と呼ばれ市民に寄り添っていたのですが、最近は権力の方を向いていると噂になっています。終戦直後の明日をも知れず皆が飢えていた日本では、徹底的に弱者に寄り添い、生きながらえるために食べていくのが正義、しかし、少し豊かになったら違うものと戦わなければならなくなる、ということなのでしょうか。

「正義」って何?

今も世界には戦争をしている国があります。それらの国は、それぞれの正義を守るために相手国と戦っているわけです。かつての日本がそうであったように、どちらの国が負けたら、負けた国の正義は正義ではなくなる?

食べ物がなくて困っている人に食べ物をわけあたえる、というのは逆転しない正義だと、生前、やなせたかし氏は語っていたそう。

人間は食べることに充足し豊かになると、戦争のことや、それによって飢えていたことなど忘れてしまうのかもしれません。でも、原爆記念日や終戦記念日などがある8月は、今一度、絶対に戦争をしてはいけないということを思い出すべきタイミングだと思います。