なんとなく気になって観に行った映画「サブスタンス」。どうやらスプラッターらしいという事前情報だったので、昼間の映画館へ。

若い頃に芸能界で成功したエリザベスだが50代を迎えて唯一のテレビ出演番組を下されそうになり、再生医療に手をだす。7日間で入れ替わることを条件に、若返った自分に戻れる。あくまで二人で一人。でも、キャッチ通り「かわいいが暴走して、阿鼻叫喚」に。

若い女性というだけで、チヤホヤされる。ましてや美貌が伴えば尚更だ。老いていく未来についてはまだ見えないので、チヤホヤしてくれる男性たちと一緒に老いた女のことを卑下したりもする。それはいずれ自分の進む道でもあるのに、まだ見えていない。

もう50歳だろ?だから番組からは降りてもらうとプロデューサーに言われてあっさりクビを言い渡されるエリザベス。美辞麗句で花束と共に送り出されるが、裏で語られた罵詈雑言も聞いてしまった。若く美しかった時代、皆からチヤホヤされていた時代を忘れられないエリザベスは、怪しいと思いつつも再生医療に手を出し、薬品を打つ。

一方、若い分身の方のスーは、エリザベスの後任としてチヤホヤ、あっという間にスターダムに。そんな自分の時間を少しでも長くしたいがために・・・でも、私の周りにも、美貌のためにあっさり外科的な処置を受ける人、いますしね。私は注射とかナイフとか、なるべく避けたいのですが。

晴れ舞台の前にはプロデューサーと株主たちから、笑顔でね、と声をかけられる。貼りついたような笑顔を見せるそのプロデューサーも株主たちも、皆白髪の男性たち。男社会で権力を握った男性たちにとっては、若い女性はおもちゃでしかないのか。古くなったらポイっと捨てられるのか。

デミ・ムーアはヌードも披露していたし、異形の姿にもなった。同年代。若い分身を演じたマーガレット・クアリーは、「セント・エルモスファイヤー」でデミと共演したアンディ・マクダウェルの娘とのこと。母世代と娘世代でもあります。

という映画を、50歳を目前にしたフランス人女性監督が撮ったわけです。この監督、「REVENGE」という映画も撮っていて、陵辱された若い女性が徹底的に復讐するという、やはり血まみれの映画。伝えたいことは嫌というほど伝わって来ます。